DIALOGUE 対談

特別対談:エスネットワークスの高度外国人人材採用と活用とは?  前編

エスネットワークスでは積極的にアジアを中心とした高度外国人人材(MBAホルダー)の採用と活用を行なっています。この度、多くの高度外国人人材を育成・輩出している一橋大学大学院 国際企業戦略研究科(一橋ICS)より、これからの日本企業のロールモデルとして弊社の取り組みを取り上げていただき、対談を行いました。一橋大学大学院の楠木教授と弊社の須原、高畠の対談の模様を前後編の2回分けてご紹介させていただきます。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 前編
アジアとの橋渡し役を担いたい
楠木教授

僕らの一橋ICSというビジネススクールでは、MBAプログラムをインターナショナルスクールとして位置づけておりまして、全体の約8割を占めるアジアを中心とする海外の学生が日本で勉強してMBAを取得し、その後、彼らの多くは日本の企業へ就職を希望しています。そうした中で、我々のMBAの卒業生をたくさん採用していただいている素晴らしい会社、エスネットワークスという知る人ぞ知る良い会社があるんですけども。

須原

知る人ぞ知る、ですね(笑)。ありがとうございます。

楠木教授

まず、エスネットワークスという会社がどういうビジネスをやってらっしゃるのか、簡単にご説明いただけますか。

須原

先生はよくご存知だと思いますが、キーワードはCFOです。主なお客さまはベンチャー企業や地方の中堅中小企業です。この2つのセクターはやはりCFOが非常に少ない、もしくは、ほぼいない状態なので、良いものをもっていながらも企業活動が持続しないか、持続はするけれども成長はしないという悩みを抱えています。ここにエスネットワークスが法人としてCFO機能の提供を行っているということです。

楠木教授

なるほど。具体的な手法をうかがえますか?

須原

方法としてはコンサルティングとアウトソーシングと2つあります。コンサルティングでCFOの知恵を貸す。アウトソーシングでCFOが司るロジスティクスを代行する。これで、おかげさまで商売をさせてもらっています。

楠木教授

僕の理解では、それが企業の成長にとって非常に大切なことだと思うんです。やはりベンチャー企業や地方の中堅中小企業は、どちらかというと、PLばかりに目がいってしまいがちで、企業を成長させていくためにはファイナンスという日々の家計簿の延長にあるプロフィットロス(PL)とは違った時間軸で、また違った視点の考え方で経営に入っていく必要がある。それをCFOが担っているわけですけれども、ここのところがそう簡単に出てこない。だからこそ、その機能や役割を外部から提供すると。

須原

はい、そうです。

楠木教授

場合によってはCFOという役割を果たす人が出て行くと。

須原

はい。出て行きます。

楠木教授

御社のビジネスは非常にやることの種目がハッキリしているのと同時に、関わり方が非常に深いことが特徴だと思うんですが、我々のような日本のMBAを取得した高度外国人人材をビジネスのために採用しようというのは、どういう動機があったんですか?

須原

ベンチャー企業や地方の中堅中小企業が、バランスシートがなかなか使えず、新規事業もつくれなくてという中で、経営者がひとつぼんやりと思っているのは、日本の内需が少しずつシュリンクする状況下で国内マーケットだけで仕事をするのは、ちょっとやばいんじゃないかと。であれば、アジアに実需を求めにいく、あるいは日本の人件費に変わる部分をアジアに求めていく。こうしたことは社長さんがうっすらと考えています。ですが、そこに足がかりをもつ具体的な手練手管もないので、僕たちはそこの橋渡し役をさせていただいて役に立とうということを5〜6年まえから力を入れ始めました。なので、ひとつ大きな理由としては、実需があること。僕たちのお客さまに実需があるので、アジアに橋渡しをしたい。だとしたら、行く先の法律や会計や文化や風俗を知っている人たちと一緒に仕事して、一緒にお客さまに提案したら絶対に喜ばれるだろうと。これがものすごくシンプルな理由ですね。

楠木教授

なるほど。御社はすでに海外拠点をもって事業展開をしていると思うのですが、いま中心になっている国はどこになりますか?

高畠

最も早く展開した国はベトナムです。2008年にホーチミンシティに展開し、その後ハノイにも進出しました。

楠木教授

もう今年で10年になるわけですね。

高畠

そうですね。あとはシンガポール、タイ、いまはフィリピンを検討しています。ただ、海外に出てお困りのお客さまという意味では、拠点がなくてもサービスは提供していますので、サンフランシスコや北京等にもサービスの提供実績があります。

楠木教授

外国人はこれまで何人採用していますか?

高畠

外国人比率は、全社員285人に対して約70人ですから、25%強です。ただし、いわゆる先生のところからご紹介いただけるような高度外国人人材が占める割合はまだ高くありません。7〜8人からスタートして毎年増やしつつあるというところです。

楠木教授

一橋ICSからの採用はこれまでに何人になりますか?

高畠

入社予定も含めると5人ですね。

楠木教授

それ以外にも高度外国人人材はたくさんいらっしゃる?

高畠

たくさんとまではいかないですが、これまで現地でのローカル採用を行ってきてこの5〜6年で海外強化していくにあたり、いよいよ高度外国人人材が必要になってきたという状況にあります。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 前編
経営人材のインバウンドは増えていくべき
楠木教授

高度外国人人材は入社後、どんなふうに活躍していますか?

高畠

正直に申しますと、入社して5〜6カ月での活躍はなかなか難しいです。ですから、まずは言語と文化を勉強していただくために日本語学校へ通ってもらったり、お客さまの稼働中のプロジェクトに同行してもらっています。そこから「分かったぞ」といったところからが、高度外国人人材の違うところでして。もともとスキルを持っていて、各国のことを知悉されているので、そのままビジネスそのものを相談したり、英語を使う仕事で活躍していただいたりしています。

楠木教授

日本語の勉強は、会社としてサポートするのですか?

高畠

はい、基本的には集中して日本語の勉強だけをしてくださいという期間を6カ月間設けています。ただ、日本語学校だけだと刺激が足りなくなると思いますので、例えば、午前は日本語学校、午後から会社に出社するなどですね。さらに、弊社の事業に関わる専門知識を2カ月間、集中的に社内講義で学びます。この講義は日本語でやっていますね。

楠木教授

ビジネスで使う日本語の勉強にもなると。

高畠

そうです。

楠木教授

我々の卒業生で採用していただいたレダさんという素晴らしい人材がいます。

須原

明るいレダさんですね。

楠木教授

そうです。入社時のレダさんの日本語はどんな状態でしたか?

須原

いまはだいぶ上達していますが、最初はあまり得意ではなくて。

楠木教授

なるほど。では、言葉そのものの力とは別に、その人の適応能力とか、パーソナリティとかはどうでしたか?

高畠

レダさんには名古屋拠点へ行ってもらっていますが、まず、なじみ感がハンパないです。

楠木教授

ハンパないと(笑)。

高畠

名古屋拠点にいるメンバーたちは、仕事で英語を1回も使ったことがないのでは?という日本人たちなのですが、レダさんの人間力の凄さというか、彼らとすぐに慣れて、その瞬間から、メンバーたちから「この人、すごくない?」「これまで会ったことないくらいすごい!」とリスペクトされていますね。

楠木教授

そうですか。では、実際の実務で役立った例でいくと、我々の卒業生のタイ出身のナットさんがタイでビジネスやっていらして、とってもスムースにいったという話を聞いています。

高畠

はい、投資関係のご相談をお客さまからされたのですが、我々の現在のタイ法人での仕事とはちょっと性質が違っておりまして、我々としては対応方法が分かっていても実行するのは難しい。でも、ナットさんに聞けば、もうスッと現地の政府関係機関などに連絡して、必要な情報や解決手段を教えてくれるんです。

楠木教授

なるほど。僕が実際に一橋ICSでやりたいことの大きなひとつは、経営人材のインバウンドなんです。日本がこれから、先ほど須原さんがおっしゃったような理由で海外に実需があるので海外に展開していくとしたら、どうやったらそこの経営人材を手立てできるかというと、基本的に3つあると思っています。例えばタイに出て行く場合、パターンAとして、タイに詳しい日本人が社内にいて、その人がタイでビジネスをやるときに出て行く。パターンBは、そういう人は日本にいないので、現地で拠点を出して、そこで現地の人を採用する。パターンCはタイの方で日本にいて、日本が好きで日本のことをよくわかっている方を日本で採用して、その人がタイのビジネスに出る。これ、どう考えてもA、BよりもCがいいと思うんですよ。

須原

そうですね。

楠木教授

観光のインバウンドだけじゃなく、ビジネス人材のインバウンドというのは、これからどんどん増えていくべきで、そういうゲートを僕らのMBAプログラムで開ければ良いなと思っているんです。ただこれは、採用する側が慣れていないことなので、例えば採用基準でも単純に言葉がしゃべれるというものだけじゃなく、レダさんみたいな適応能力やパーソナリティをしっかりと吟味する必要が出てくるものと考えられます。。こういうことはやっているうちに次第に分かっていくものですか?

須原

そうですね。言葉はあくまでも手段なので、ある程度一緒に時間を過ごして、面接をさせてもらうと、なんとなくキャラクターは日本人と話しているのと同じような感覚で「あっ、この人こういう人なんだろうな」というのはわかってきます。例えば、レダさんなら明るいね、と。そのほかのうちに来てくれている方々も面接のときの印象と入社後のパーソナリティのギャップというのは意外なくらいないですね。

楠木教授

なるほど。かえって外国人であるがために、ものすごく率直に人物評価を、あんまりバイアスをかけずに見ることができるということもあるんでしょうね。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 前編