DIALOGUE 対談

特別対談:エスネットワークスの高度外国人人材採用と活用とは?  後編

エスネットワークスでは積極的にアジアを中心とした高度外国人人材(MBAホルダー)の採用と活用を行なっています。この度、多くの高度外国人人材を育成・輩出している一橋大学大学院 国際企業戦略研究科(一橋ICS)より、これからの日本企業のロールモデルとして弊社の取り組みを取り上げていただき、対談を行いました。前編に続き、一橋大学大学院の楠木教授と弊社の須原、高畠の対談の模様をご覧ください。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 後編
高度外国人人材は意識転換の火付け役
楠木教授

高度外国人人材が入社することで、社内で何か変化が起きるものですか?

須原

これが面白いんですよ。

高畠

先ほど名古屋拠点のお話をしましたけど、日本のメンバーはすでにグローバル化が進み、内需が縮んでいる認識はあるのですけども、でもやっぱり英語はやりたくないと。このままあわよくば逃げ切れるかもと思っていたのではないでしょうか。しかし、うちに来ていただいている方は基本的にはトリリンガル以上の方ばかりなんですが、例えば高度外国人人材であるレダさんという多言語は当たりまえの方が普通に隣にいる。それに加えて、専門的な知識も兼ね備えていて仕事もできてしまう。日本のメンバーからすると、日本語のアドバンテージはあるが、これもすぐ抜かれる、とわかる。それで、自分も頑張ろうと思い始めたのが、大きな変化ですね。

須原

「やばい」と。

高畠

単語で言うと「やばい」ですね。

楠木教授

そうすると、単に高度外国人人材を獲得するというだけじゃなくて、社内の日本人に対しても非常に効きが良い刺激というか、モチベーションや意識転換、組織の風土を変えていくということにもなる。一石で何鳥にもなる。

須原

はい、そうです。もうひとつ面白いのが、東北大学の大学院博士課程を出て、うちに来てくれた高度外国人人材がいるんです。彼女はタイの出身で、飛行機が空を飛んでいるのをタイで見る度に悲しい気持ちになったと、うちの朝礼で全メンバーの前で話を始めたんです。なんで悲しくなったかと言えば、私は一生飛行機に乗れないんじゃないか。いつか飛行機に乗りたい。それで頑張って勉強して、日本に来て大学院も出て、その結果としていまは普通に飛行機に乗れるようになりました、というのを熱を持って話すんです。飛行機に乗るのが普通な僕らからすると「あっ、なんかこれ、忘れていた感覚かも」というようなものがシェアできるんです。

楠木教授

我々が成熟社会に当たり前にいることで忘れていたバイタリティとか、人間の根源的なモチベーションみたいなものを、そういう人たちが呼び起こしてくれる。

須原

はい、そうですね。

楠木教授

それは面白いですね。これからもどんどんそういう高度外国人人材の採用を続けていくと思うんですが、これからの課題とか、それをどうやって乗り越えていくかということについては、どんなことをお考えですか?

須原

はい、課題はもちろんあります。先ほどの日本語教育についても日本語のレベルに対してN1〜N5までのランクを設けているのですが、それを制度としてN1だったら日本語学校にこれくらいの期間行きますとか、そういう制度がまだ整備されていないんですね。なので、制度整備がまず必要だということがひとつ。それからもうひとつは、先ほど先生がおっしゃったABCのCパターン。海外から日本にインバウンドで来てもらって、向こうに戻るか、日本で経営をやってもらうということについて、今やりつつはありますが、今後どんどんやっていくと、エスネットワークスという会社はなんぞやとなるんです。日本のコンサルティングファームで日本企業をアジアに送客するという立ち位置なのか、日本とかアジアとかはたまたま地理的な問題でしかなくて、国籍問わず経営人材をつくっていく会社なのか。誰のために存在しているのかというのを定義しなくてはいけないと思っています。いまは正直、アジアに実需があって出て行くといった要素が強いことは冒頭に申し上げたとおりなんですが、いずれ我が社のコンセプトというか、存在意義みたいなところまで考え抜いてきちっと発表しないといけない。これがいちばん大きな課題だと思います。

楠木教授

それは高度外国人人材の入社によって、会社の再定義みたいなところまでインパクトを及ぼしているということですね。もしかしたら、今までは外国人、つまり非日本人という意味での区別をしているのですが、そうした区別が、近い将来意味がなくなるところまでいくのかもしれないですよね。

須原

そうだと思います。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 後編
アジア発のグローバルファームというロマン
楠木教授

お話をおうかがいしていると、コンサルティングのような言語に依存したドメスティックになりがちな業界の中で、エスネットワークスは極めて俗にいうグローバル化が進んだ会社に近い将来なるかもしれませんね。

須原

かもしれないですね。そこのコンセプトが正直まだハッキリしていないので、外国人の彼らから、これからどうなるんですか? 須原さんは何を考えているんですか?と質問されます。彼らに対する答えにはまだなっていないと思いますが、僕は、そこはあまりメカニズムで考えていなくて、ロマンで捉えています。確かに日本企業がアジアに実需があるから高度外国人人材に来てもらったら助かるね、という理由は外せないんですが、僕らの中では、アジアの共同体組織、アジアの共同体感覚みたいなものがあるんです。これはたぶん、僕らは金融やコンサルティングに近い。もちろんコンサルティングは真ん中ですが、金融はアングロサクソンで領地を取りあってきた人たちがつくってきたルールじゃないですか。それを僕らは普通にルールテイカーとして受けています。コンサルティングファームもマッキンゼー・アンド・カンパニーやボストン コンサルティング グループのように、人気就職ランキングで上位になるのは欧米勢です。なので、僕らはアジアで金融やコンサルティングをきちっと司る、アジア発のグローバルファームになる。これはロマンというか、なんかかっこいいんじゃないかって。だからあんまりメカニズムでどうこうというよりは、ウェットな思いがあります。

楠木教授

すばらしい。いまのお話はすごく共感します。ひとつには、まず客観的なマクロの事実として、アジアが今後しばらくの間は世界の成長エンジンで、そのアジアにたまたま日本があるというのは、日本国内が成熟していたとしても、ものすごいアドバンテージだと思うんですよね。それから、いくら文化が違う、言語が違うといっても、僕はこの一橋ICSで長いこといろんな国の人に教えている経験からしても、日本人の感覚からしてもアジア人のそれは欧米人より近しいと感じるし、自然とミングルしていくというか、一緒になっていくのも簡単です。そういう客観的な追い風というか良い条件があるのに、日本の多くの会社はその条件を全然うまく利用できていなくて、人材を採ってみればまったく考えもつかなかったような新しいロマンとか、ビジョンが開けていくっていうのは、本当に経営にとって大きなインパクトがありますよね。

須原

はい。でも私たちとしては、実はそんなにエイヤという感覚もなくて、普通にこれはそうしていきたいねということで、先生とも自然にこういう話ができている。

楠木教授

やはり会社の中で、毎日一緒に仕事していると自然とそういうような道というか考えが、強制されなくてもできてくるってことなんでしょうね。

須原

と思っているのですけど。これに一生懸命取り組んでいる会社がいまの世の中に多いか少ないかでいくと、決して多いとは言えないのかなとも思います。

楠木教授

そうなんですよ。だから我々ももっとエスネットワークスさんのような会社がいっぱい出てきてほしいなと思っているんです。結構、食わず嫌いと言いますか、最初のイニシャルトラブルで嫌になってしまうとか。大きな会社だと決まっていることが多いので、先ほど高畠さんがおっしゃったような日本語教育とか、会社の中で適応するための教育に時間を用意することがなかなかできないのかもしれないですね。例えば、エスネットワークスさんが成果をどんどん出して、実績や事例をつくっていただければ、そのアーリーサクセスにみんな学んで、結構増えてくるんじゃないかなと思うんです。

須原

我々がより獲得競争にさらされるということですよね。

楠木教授

かもしれない。

一同

楠木教授

ただそのときはやっぱり先行者ノウハウがあるので、きっともっと上手な会社になっている。たぶん、日本にいる高度外国人人材が入ってくる労働市場の中で、エスネットワークスというブランドになっているんじゃないですかね。「外国人の力を上手に引き出せるので、あそこに行けばキャリアが開かれるよ」となると、非常に良いですね。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 後編
採用で見ているのはメンタリティ
楠木教授

高度外国人人材の採用において、これからはこういう人材がほしい。いろんな切り口で言えると思いますが、お考えになっていることがあれば教えてください。

須原

高畠とふたりで決めたことは、アジアにあるすべての国から最低1人以上採用しようということです。いま日本企業の進出先はタイやベトナムが中心かもしれませんが、ミャンマー、インド、バングラデシュも今後増えていくでしょうから、アジア各国から人材を採用して、面を獲得していこうと話しています。あとは高度外国人人材に限らず、メンタリティという言い方が良いのかと思いますが、クライアントにはいろんな業種、業界があります。私たちのようなベンダーも当社だけじゃなくいろいろあります。みんなその中から選択をしていくわけですけど、面接をしていくと、選択肢を5個も10個ももって、どれがいいんだろうって、スコアを付けて比べるような方ももちろんいらっしゃいます。ただ、僕はそういう人をそうかな?と感じた場合は、あまり採らないようにしています。選択をすべてミスらずに人生を駆け抜けようというのは、どだい無理な話なので、選んだ後に自分の力でその選択をよりフィットさせていく意思のある人をなるべく見抜いて採用するようにしてします。これは日本人も高度外国人人材もまったく変わりません。

楠木教授

お客さまもベンチャー企業や地方の中堅中小企業などが多く、エスネットワークス自体もベンチャー企業なので、そういうマインドセットは非常に大切ですよね。

須原

そうですね。先生もよくおっしゃるように、大企業に行ったほうがいいか、ベンチャー企業に行ったほうがいいか、やってみないと分からないことなので、その選択を二分法でやり続けるようなメンタルの人はやっぱりちょっと難しいかなと正直思っています。

楠木教授

これは本当に日本人、高度外国人人材を問わず、エスネットワークスにとって非常に重要な条件ですよね。

須原

だと思っています。

楠木教授

ますますこれから国籍も意味がなくなるような時代に、先ほどのロマンあふれるアジア共同体に立脚したアジア発グローバルファームになることを祈念しております。今日はありがとうございました。

一同

ありがとうございました。

高度外国人人材活用の アーリーサクセス企業として 後編