よくあるご質問
ベトナム進出
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ベトナムにおける法人登録における法規制概要を教えてください。
ベトナムで現地法人(100%外資)を設立する際には、投資登録証明書(Investment Registration Certificate/IRC) 及び企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate/ERC)を所在地の投資計画局(DPI)(工業団地の場合は、工業団地管理局)に取得申請をする必要があり、それぞれの取得をもって法人設立となります。
一般事業(事業開始のためにサブライセンス又は特別条件が求められない事業)
IRC及びERCの取得後、事業展開及び法人の運営をすぐに開始可能
条件付事業(事業開始のためにサブライセンス又は特別条件が求められる事業)
IRC及びERCの取得後、法人の運営をすぐに開始できるが、条件付事業を開始するためには、IRC及びERC以外にサブライセンスの取得又は特別な条件を満たすことが必要(サブライセンス:ベトナム政府が特別管理の目的で会社登記ライセンス以外に各専門管轄機関にて発行される付随ライセンス)
特別な事業(銀行業、保険業(保険ブローカー(仲介)業を含む)など)
IRC、ERC、サブライセンスの取得ではなく、専門的な法令(保険経営法、クレジット組織法など)に基づく特有の手続に沿って、ライセンスを取得しなければならない -
ベトナムに法人を設立するにあたり、最低資本金の規制はありますか。
ベトナムのローカル企業は、二重帳簿は珍しくありません。そのため、税務デューデリジェンスによって税務リスクを把握することが非常に重要です。また、財務デューデリジェンスによって使途不明金が多額に発見されることも多くあります。その他、法令への準拠を確認する法務デューデリジェンス、事業の実態や事業環境を確認するビジネスデューデリジェンスも実施して慎重な検討をすることをお薦め致します。
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ベトナムに法人を設立する前にベトナム人をリモートで雇いたいと考えているのですが、何か良い方法はありますか。
ベトナムに居住しているベトナム人と業務委託契約を締結することにより、ベトナム人と業務を行うことが可能となります。ただし、税金や社会保険の支払いをケアしないといけなかったり、制度改正に気づくことができなかったりするといったリスクもあります。そこで、弊社のようなコンサル会社にて雇用代行という形でベトナム人を雇用し、給与計算や税金といった事務処理はコンサル会社に任せるといった方法も御座います。オフィスもコンサル会社で確保してくれることが多いため、ベトナム人との業務のやり取りに集中することが可能となります。
会計・税務
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ベトナムの会計基準と日本の会計基準の差異について教えてください。
ベトナムには、固定資産の減損、金融商品会計、資産除去債務など日本にある会計基準が存在していない場合があります。そのため、日本の親会社における連結財務諸表にベトナムの子会社を取り込む際には、必要に応じて日本基準への調整が必要となります。
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賞与は損金算入できますか?
労働契約書等に金額または基本給〇か月分等の明記があれば損金算入可能です。決算日から90日以内に法人税の確定申告を行いますが、この期日までに賞与の支給を行う場合は当該年度の費用計上が認められます。人事評価に基づく賞与支給の場合は、評価制度の明文規定、規定に基づき評価したことを示す結果を文書にて残す必要があり、恣意性が認められると損金算入できないことにご留意ください。
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ベトナムにおける居住者、非居住者の判定方法を教えてください。
いずれかひとつでも当てはまれば居住者、すべてに当てはまらなければ非居住者扱いとなります。
・最初のベトナム入国日から12ケ月で183日以上滞在
・暦年でベトナムに183日以上滞在
・ベトナムに恒久的住所があり、ベトナム国外で居住者証明書を取得できない場合
(183日以上の賃貸契約がある場合、一時滞在許可証を取得している場合に恒久的住所があるとみなされます) -
居住者、非居住者それぞれの場合の課税所得/税率を教えてください。
居住者:全世界所得 / 5~35%(累進課税)
非居住者:ベトナム源泉所得 / 20%(固定) -
駐在員給与をベトナム子会社にて損金計上するための要件を教えてください。
労働許可または労働許可免除期間中について、労働契約締結により損金計上可能です。任命状、出向契約書等に基づいて費用計上することも可能ですが、費用計上が認められる確度は労働契約締結と比較して低くなります。
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家賃手当は個人所得税の課税所得となりますか。
課税所得となります。法人名で契約締結し、法人から貸主に家賃を直接送金している場合に限り以下の優遇計算が可能ですが、それ以外は手当全額が課税対象となります。
※家賃を除く税込給与(グロス給与)の15%と家賃実際支払額とのいずれか小さい額を税込給与(グロス給与)に加算の上で個人所得税計算 -
通勤手当は個人所得税の課税所得となりますか。
通勤規程等に基づいて一律に支給される通勤手当は非課税となります。タクシー・社用車通勤の場合は業務利用目的の法人契約がある場合のみ非課税となり、個人精算の場合は課税手当となります。
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非居住者も個人所得税年次確定申告が必要ですか。
月次又は四半期申告のみで、年次確定申告はございません
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各種税金の課税年度を1月~12月以外とすることはできますか。
法人税の場合、1~12月の暦年が一般的ですが、管轄当局に届け出ることで3月末、6月末、9月末のいずれかを会計年度末とし法人税についても同じ課税期間を採用することが可能です。進出初年度及び閉鎖直前年度に限り、課税年度は15ヶ月まで設定可能です。
個人所得税は初年度を除き1~12月の暦年のみとなります。 -
法人税法上の損金算入の要件を教えてください。
以下の全てを満たした場合に損金算入が認められます。
① 事業に関連して実際に発生した費用であること
➁ VATインボイス及び証憑書類を適切に備えていること
③ VAT込2000万VNDを超える場合、現金以外の支払方法で送金証明書
等の支払証明書があること -
VATインボイスを受領していない場合に損金算入とするための要件を教えてください。
ベトナム国内企業との取引においては、VATインボイスを受領していない場合は損金算入できません。海外企業との取引においては、取引先企業の所在国の適法な証憑を入手のうえ、税務調査までに証憑のベトナム語翻訳を準備の上で添付する必要があります。
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親会社が設立前費用を立替後に、ベトナム子会社はどのような処理ができ、そのためにはどのような書類が必要か教えてください。
ベトナム子会社は会計・税務とも営業開始後に設立費用の3年以内の償却が可能ですが、対象となる設立費用は限定的なものとなる場合があります。親会社名義で損金算入に要する書類を整備する必要があるほか、ベトナム法人設立前の日付で日本本社がベトナム子会社の設立費用を立て替えることを決定した旨の決定書、ベトナム法人設立後の日付で日本本社がベトナム子会社の費用を立て替える旨の合意書、日本本社からベトナム子会社への請求書が必要となります。
実務上は資本金送金後に返金することになりますが、返金可否は、取引銀行の精査を受けた上で承認を得られたもののみ返金可能です。ベトナム法人設立日以降の立替金の送金は認められないことが多いためご留意ください。中央銀行の指導により設立前立替金返金に関する方針が変わることがあるため、必ず事前にお取引銀行に確認してください。送金を認められない場合、親会社との取引があれば相殺を行うことが可能ですが、VAT控除時の銀行送金要件を満たさないと判断される場合があるため、可能な限り返金をお勧めします。 -
付加価値税の税率を教えてください。
・標準税率は10%となります
・2024年12月までは10%適用対象の商品・サービスの一部に対して8%適用中
・0%取引、5%取引、非課税取引もございます -
外国契約者税とはどのような税金ですか。
外国企業がベトナム企業にサービスを輸出した場合に、外国企業に課せられる税金です。実務的にはベトナム企業が源泉徴収するため、あらかじめ契約にていずれが税金負担をするかを明らかにしておく必要があります。ベトナム法人が負担する場合はグロスアップされるため、負担者により税額が異なります。
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外国契約者税の必要手続きの期日を教えてください。
契約締結後、法令上は20日以内に税コード登録を行う必要があり、その際にベトナム語版調印済契約書原本の提示を求められます。登録後、ベトナム法人から海外企業への送金後10日以内に申告及び納税が必要です。
※実務上は初回納税より前に登録を完了すれば問題視されることはほぼありません(更新日現在)。 -
駐在員のベトナム社会保険料について教えてください。
赴任前にベトナム法人に出資した法人で12か月以上勤務しており、ベトナムの定年年齢に達していない場合はベトナムの社会保険に加入できません。それに該当しない場合で、ベトナム法人と労働契約を締結する場合は社会保険(外国人は健康保険及び社会保険のみ)に加入する必要があります。帰任時に脱退手続を行い、支払済保険料の一部について返金を受けることも可能です。
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日本から駐在員に給与を支給していますが、ベトナム法人に請求しています。留意点はありますか?
駐在員とベトナム法人とで労働契約を締結した上で、日本法人とベトナム法人で立替契約書を締結いただく必要があります。その上で、当該給与に係る個人所得税は他のベトナム人従業員の給与と同じようにベトナム法人から申告する必要があります。給与の負担者がベトナム法人である場合、日本の社会保険料はベトナムの個人所得税計算にあたって控除することができませんのでその点もご留意ください。
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出張旅費の取扱いについて教えてください。
多くの場合、出張時には日当・交通費・ホテル代が発生すると思います。ベトナム法人または駐在員事務所で負担する場合、それぞれについて以下の対応が必要となります。下記の準備がない場合、出張旅費が出張者の個人所得税課税所得とみなされるリスク、会社の場合損金計上できないリスクがあります。
◆出張申請
出張申請→許可という社内手続を実施していることを示すことが可能である必要があります(指示書または命令書、社内稟議履歴など)。
◆日当
出張規程、経理規程等において規定しておく必要があります。金額については一律または役職別での設定が一般的です。
◆交通費・ホテル代
交通費・ホテル代精算については以下の2種類の規程方法があります。
A:実費支給 かかった実費に基づいて支給する。
B:規定に基づき支給 あらかじめ出張頻度の高い場所等について、規程で一定額を設定しておき、出張の都度その金額を支給することも可能です。
労務・法務
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ベトナムで従業員を解雇することは可能ですか。
ベトナムでは従業員を解雇することは簡単ではなく、訴訟に発展しているケースも散見されます。特に無期限の雇用契約となっている場合は会社都合で解雇することはほぼ不可能です。試用期間や有期雇用期間を利用して無期の雇用契約になる前に従業員を見極めて、慎重に対応することが非常に重要になってきます。
M&A
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M&Aのメリットデメリットを教えてください。
M&Aは既にできあがっている事業を引き継ぐことができるのでスピードを重視される場合には適しています。一方で、ベトナムローカル企業は二重帳簿や個人資産との混同といった様々なリスクを抱えている企業も多いため、M&Aの意思決定にあたっては、しっかりとデューデリジェンスを実施して対象会社の状況を見極めることが重要です。
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デューデリジェンスでの留意点を教えてください。
ベトナムのローカル企業は、二重帳簿は珍しくありません。そのため、税務デューデリジェンスによって税務リスクを把握することが非常に重要です。また、財務デューデリジェンスによって使途不明金が多額に発見されることも多くあります。その他、法令への準拠を確認する法務デューデリジェンス、事業の実態や事業環境を確認するビジネスデューデリジェンスも実施して慎重な検討をすることをお薦め致します。
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Valuationにおける留意点を教えてください。
Valuationの手法には、大きく分けて①インカムアプローチ②マーケットアプローチ③ネットアプローチの3つの方法があります。①インカムアプローチは、将来の事業計画に基づいて企業価値を評価する手法です。②マーケットアプローチは、類似上場企業のデータから企業価値を評価する手法です。③ネットアセットアプローチは、純資産に基づいて企業価値を評価する手法で、通常は3つの手法を考慮して適切な手法を組み合わせて実施されることとなります。
その他
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ハノイとホーチミンの違いを教えてください。
ハノイは政府の中心地でもあり、ホーチミンは商業の中心地です。ハノイはメーカーを中心とした大手企業が多く、ホーチミンはサービス業やIT企業などの中小企業が多いです。
また、ハノイとホーチミンは気候も大きく違っており、ハノイは日本同様に四季が存在して、冬は10℃以下になることもあり逆に夏は40℃近く蒸し暑い日が続きます。一方、ホーチミンは年中30℃を超える日が続きますがカラッとした暑さです。 -
ベトナム赴任時にやっておくべきことがあれば教えてください。
日本旅券法の規定により、外国に一時的な滞在先を定めて3か月以上滞在する場合、居住地から転出(住民票を抜く手続)をしているか否かにかかわらず日本外務省に在留届を提出する必要があります。リンク先からオンラインで手続可能です。 https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
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親会社からの借入は可能ですか。留意点があれば教えてください。
オフショアローン全般について回答します。短期借入の場合は金額の制約はなく、契約締結の上で資本金口座または借入金口座に送金可能です。長期借入の場合はそれに加えて中央銀行への登録手続が求められ、IRC上の借入資本金の範囲内まで認められます。短期長期いずれの場合も月次で中央銀行に報告の必要があるほか、支払利息のうち、EBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)の30%を超えた部分は損金算入できないことにご留意ください。